本日より、プラモデルメーカーやラジコンメーカーなどがその新製品の数々を披露する、全日本模型ホビーショーの一般公開日が始まります。今日、明日、9月26日(土)、27日(日)での開催です。最近、様々なかたちで世間を賑わしている、ドローンの数々も各社展示しています。ドローンに興味を持っている方はもちろんですが、特にドローンで空モノラジコンを始めたという方にはぜひ来場していただきたいと思っています。
現在、様々な映像作品などに活用され、被災地の状況分析、測量などなど、様々な分野で注目されているドローンですが、一方で事故も起こしており、注目の高さから多くの報道もなされています。それゆえ、ドローンは危険なものであるという認識をし始めている方も少なくないのではないでしょうか。ドローンに対する規制案が検討されている実態からみても、それは十分推測されることです。しかし、危険なのはドローンではなく、知識と技術のない運用する人間が危険であると考えています。
現在、事故を起こしている多くの期待は、3軸ジャイロ、3軸角加速度センサー(いわゆる6軸制御)、GPS、高度センサー(気圧)、地磁気センサーなど様々なセンサーを活用し、無線航空機を操縦する基本的な技術を持たない方でもフライトを可能にしています。それは、空モノラジコンを趣味として楽しむ、業務用として利用するための敷居を下げ、大いに役立っていると思い、空モノラジコンにおける革命といっても過言ではない、大きなメリットをもたらしました。しかし、そのある意味簡単すぎることこそが、皮肉にも現状の事態を招いていると言っていいでしょう。これらセンサー類は、誤動作を起こすこともあるからです。考えても見てください、現在多くの方が利用しているカーナビのGPSも受信状態によっては正確に位置を把握できません。スマホに搭載されているジャイロや加速度センサーだって正常に動かず、画面を縦、横にしても画面が切り替わらないことがあります。現状、各種センサーは100%正確に動くわけではないのです。
これらセンサーの誤動作などを補完するのが、空モノラジコンを運用するための知識と技術になるわけです。例えば、現状販売されているホビー用、業務用ドローンの無線操縦に利用されているのは、2.4GHzという周波数帯です。これはWi-FiやBlutoothといったパソコンやスマホで利用されている周波数と同じです。基本的には自由に活用できる周波数であるのがメリットである反面、指向性の高い比較的高い周波数帯でもあります。金属、カーボンなどを含んだ障害物に対して弱く、それを迂回してドローンに対して操縦指示を送ることが困難になる場合もあります。だからこそ、知識のあるフライヤーは障害物の多い街中などでは飛ばしません。一時期、ソフトバンクやauが800、900MHz帯、いわゆるプラチナバンド獲得のために尽力したのは、低周波のほうが電波をより届かせることができるためです。
GPSにしても、カーナビやスマホの例で分かる通り、決して100%正確に位置を把握できるではありません。GPSに頼り切った操縦をしていると、GPSが正しく受信できない場合、機体は意図せぬ方向に飛んでいってしまうかもしれません。しっかりとしたラジコン操縦技術があれば、GPSが受信されなくても、自分の操縦テクニックで機体を制御し、意図する空域に誘導できます。
さらに、機体の推力をしっかり把握しているのかも問題です。外で飛ばす場合、必ず風があります。地上で拭いている風と、ドローンが飛ぶ上空では風の状況はまったく異なる場合があります。プロゴルファーだって、風を読み間違えてミスショットすることがあるでしょう。知識があれば、どのくらいの風速の状況かであれば飛ばす機体の推力でもフライトできるか知っているし、技術があれば、推力が足りない状況に陥っても、緊急着陸など、危険な状況を脱することが可能です。また、推力はバッテリーの消費状態でも変わります。バッテリーが減ってくれば、モーターを回すために必要な電圧を確保することができず、通常よりもパワーが落ち、制御も不安定になります。プロは現場の風の状況などを判断し、どれくらいの時間フライト可能かどうか判断できます。風力は、今やスマホでも計測が可能です。そのような機器がなくても、経験でフライト可能かどうかも判断できます。
そして一番重要なのは、空飛ぶものは必ず落ちるという可能性を常に持っておる来ことです。何百億円もかけて製造されている旅客機や戦闘機でさえ、墜落することがあります。ドローンだって常に落ちる可能性は秘めているわけです。知識、技術があれば、それを未然に防ぐことができます。だからこそ、何十年も前から空モノラジコンを趣味として楽しんできたフライヤーは、絶対人の上では飛ばしませんし、しっかりとしたプロ業者ほど、人の上、重要施設の上で飛ばすことを断りますし、どうしてもという場合はリスクを説明し、落ちる可能性を了承させた上で飛ばすわけです。
つい数年前までは、ラジコン飛行機やヘリを飛ばすためのテクニックを習得するには、指導者のもと、早くて1カ月、中には半年以上かかるというのが常識でした。それがドローンのおかげでより簡単に空モノラジコンを楽しむことができるようになりました。しかし、このままの状況が続くと、せっかく敷居が下がり、手軽に楽しめるようになった空モノラジコン、空撮が、最悪規制によって楽しめなくなり、あくまで業務用としてのみしか飛ばせなくなることも考えられます。ドローンユーザーにとっても由々しき問題で、これまで何十年物間空モノラジコンを最大の趣味として楽しんできたフライヤーにとっても、人生の楽しみを奪われることになります。そんなことをぜひ考え、ドローンを飛ばしてもらいたいと思うのです。
さて、話を全日本模型ホビーショーに戻しますが、ホビーショーでは、最低限の6軸ジャイロのみ搭載した小型機の多くが展示され、中には体験フライト可能なブースやイベントもあります。GPSや高度センサーなどを装備した機体に比べ、単純にホバリングさせることがいかに技術を要するか、ぜひ体験してもらいたいと思います。そしてそれらを、空撮機などを飛ばすためのトレーニングとしてぜひ活用してもらいたいと思うからこそ、実際の機体をぜひホビーショーで見てもらいたいと思います。気になる小型機があったら、特にドローンから空モノに入門した方には購入してもらい、家で飛ばしてもらいたいと思います。最初はエアコンや扇風機を止めて。慣れたらエアコンをつけてみてください。普段意識していないエアコンの気流が、いかにドローンのフライトに影響するか、感じることができるでしょう。
今後、ホビーとしてドローンを楽しみたいと思われている方は、ぜひこのような機体を見て体験し、知識、技術を蓄積した上で飛ばしてもらいたいものです。今後ドローンが趣味として楽しめるかどうかは、あなた自身にかかっているといっても過言ではないと私は考えています。
背面飛行などの3Dフライトだって楽しめるドローン、JR PROPOのNINJA
最新のラジコントレンドももちろん見られます。右はFutabaの新しいハイエンドミドルクラス。上はJR PROPOのノスタルジックデザインの新しい提案。中身はちゃんとしたコンピュータープロポ。
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| FPV関連も展示するaircraft。5.8GHz帯仕様なので、免許と無線局開局が必要なので要注意。通常のヘッドマウントディスプレイとしても使える。国産品よりはリーズナブル。 |
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| 今夏開催されたヘリコプターのF3Cカテゴリー世界選手権では、伊藤選手が世界チャンピオンに返り咲き。ラジコンヘリ競技史上、最強のチャンピオンと言っても過言ではありません。3位にも磯選手が入賞。ラジコンヘリコプター競技の世界で、日本は強豪国なのです。 |
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| 最新のラジコンヘリのトレンドのひとつはスピードヘリ。JR PROPOも自社のFORZA 700のスピード仕様を展示。空力優先ボディが新鮮。 |
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| プラモデルブースではスターウォーズ関連も多数展示されております。特にKOTOBUKIYAのブースは必見! |
山本